『図解でわかる! 環境法・条例―基本の㋖― 改訂2版』
著者名:安達 宏之 著
発行日:2022年2月2日
発行元:第一法規
ページ数:176ページ
価格:1,980円(税込)
法務に役立つ度:★★★★★
1.本書の紹介
私は工場を規制する環境法令に詳しくなかったため、本書を手に取りました。
著者は環境コンサルタントで、ISO14001主任審査員でもあり、環境法やISO14001に関する著作も多いです。
本書の感想を言葉を選ばずに言えば、本書は法令に精通する弁護士の先生や学者の先生の著作と比べて圧倒的にわかりやすいということが言えます。
私も法務が長かったため、法律の調査方法も理解していますし、細かいところは法律を調査すれば良いと思います。
ただ、各種環境法令を見開き2ページで、1ページ目に法令の勘所、2ページ目に図解というようなまとめ方は、本当に環境法令を理解している方でないとできないと思います(ただし重要な法令は2ページ以上使っています)。
簡単に勘所と記載しましたが、この勘所が秀逸です。
この法令が一番重視しているところは何か、それに対して事業者はどう対応すればよいかを端的に記載されています。
著者は事業者目線に立っているため、企業の法務にはうれしいところです!
2.法務に役立つポイント①~環境法令を俯瞰する
それでは、以下、心に残った法務に役立つポイントを記載していきます。
まずは、工場に関連する環境法令すべてを俯瞰することができます。
法務としては、自社の工場に関連する環境法令だけ知ればよいと思いますが、それでは知識が広がっていかないし、新規の工場を建設することがあったときに困ります。
全体を俯瞰して、なんとなく覚えていることが、いざという時の取っ掛かりになるのではないかと私は思います。
法務はそういったいざという時の瞬発力が必要だと思います。
また、本書でも述べられているとおり、環境法令は時代とともに改正されていきます。
今までは規制対象外だったものが、改正により規制対象になるということもありえます。
環境法令全般の知識は法務に必要なものだと思います。
ページ数が多くないため、短時間で俯瞰することができます!
3.法務に役立つポイント②~環境条例について
次に、本書が役立つポイントとして挙げたいことが、環境条例にも触れているというところです。
まずは「環境条例の読み方」という章で、各自治体で環境法令がどのように条例に落とし込まれているか(生活環境保全条例)、各自治体独自の規制はどのようなものが多いか(上乗せ・横出し規制)が述べられています。
そして、以下、各環境法令のページで、この法律は各自治体の条例で独自の規制をしており、例えば東京都では、のようにふれています。
このように条例で規制されていることが多い法令は何かということが理解できます。
それを手がかりに、各自治体の例規集で条例を深く調査することができます。
私は、電力使用に関する環境法令(省エネ法や温暖化対策条例)は実務で担当していたので、知識はあったのですが、工場等で環境に実害をおよぼすものを規制する環境法令の知識が少なかったので、本書はとても役立ちました。
本書をきっかけに今後、深く調査していくことができると思います。
条例について述べられている書籍は少ないです
4.カスタマーレビュー
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