法務必携の『契約書作成の実務と書式 第2版』の効果的な使い方!ひな形と条項案の使い方を解説します!

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『契約書作成の実務と書式 企業実務家視点の雛形とその解説 第2版』

著者名:阿部・井窪・片山法律事務所 編
発行日:2019年9月24日
発行元:有斐閣
ページ数:666ページ
価格:5,170円(税込)

法務に役立つ度:★★★★★

1.本書の紹介

契約書のひな形として評価の高い書籍だと思います。
私が法務として勤務した企業の顧問弁護士事務所でも本書を利用していました。

私は初版から購入しており、今回の第2版は2020年施行の民法改正を反映したものとなっています。
初版から変更点は、民法改正にともなう債権法の改正や定型約款などが追加されています。

一つ残念な点は最近の他のひな形集にあるような付属のCD-ROMがないところです。
ただ、下記に記載するように、本書のひな形をそのまま複製して、契約書にするようなものではないので、付属のデータは不要かもしれませんが・・・本音を言うと欲しかったです。

複合機のOCR機能をよく使っていました

2.法務に役立つポイント①~ひな形の使い方

それでは、以下、法務に役立つポイントを記載していきます。

まず、本書は契約書のひな形を記載しておりますが、これをそのまま契約書として利用すると、いささかトゥーマッチだと思います。
特に取引基本契約書などは細かいところまで契約書で規定しているので、締結する契約の内容、締結先の企業に応じて取捨選択が必要になります。

契約書のひな形の数については、そこまで多くの契約を網羅しているというわけではありません。
本書のひな形にない契約書を作成する場合は、本書の内容を利用して作成することになります。
その際、本書では「各契約に共通する事項」(第14章)として、章を分けて記載されている部分が役に立ちます。

このような点から、本書にない契約書を作成する場合でも十分応用することが可能です。
私は、「各契約に共通する事項」は本書を参考に固めておき、固めたものを使いまわしていました。

ひな形が具体的でなく、使えないという意見もあります

3.法務に役立つポイント②~条項案パターンの豊富さ

契約書ひな形の各条項の解説に条項案の複数のパターンが記載されています。
単に、「売主有利」「買主有利」という区別ではなく、契約へのスタンスに応じた複数の条項案を提示しています。

民法改正があり、以前の瑕疵担保責任が契約不適合責任になって、契約書も表現を変更する必要がありました。
ここの条項案についても複数提示されており、契約不適合責任を自社向けにアレンジして、固めるときに役に立ちました。

上記でふれた「各契約に共通する事項」についても複数提示している条項もあります(ここまで丁寧なものはないと思います)。

最後に私が法務として勤務していた企業は、定型の契約以外で案件に応じて作成する頻度が高いものが業務委託契約書でした。
本書は、1章を割いて業務委託契約書を解説していたので、特に役に立った書籍でした。

4.まとめ

契約書のひな形を提供する書籍でも完璧なものはありません
契約書の作成は書籍からそのまま複製するのではなく、自分で考えて、自分で取捨選択しながら、自分なりのひな形を完成させるものだと思います。
本書は自分で契約書のひな形を固める基礎となる書籍になります。

5.カスタマーレビュー

レビューや評価をご確認ください。

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