元厚労省職員の『改訂版 わかりやすい労働衛生管理』は法務が辞書的かつまとめ本的に使える書籍です!

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『改訂版 わかりやすい労働衛生管理』

著者名:角森 洋子
発行日:2019年9月13日
発行元:産労総合研究所 出版部 経営書院
ページ数:385ページ
価格:2,420円(税込)

法務に役立つ度:★★★★★

1.本書の紹介

元厚生労働省職員で、特定社会保険労務士、労働衛生コンサルタント、兵庫県産業保健総合支援センター法令担当相談員の著者による書籍です。

私が労働衛生管理の業務を調査するにあたり、特に工場で必要とされる労働衛生管理(特殊健康診断、作業環境測定、保護具など)を網羅的に確認したくて本書を手に取りました。
私は今まで実務で労働衛生管理にかかわったものは、主に通常のオフィスの執務室に関するものだけだったので、工場で必要とされる労働衛生管理に関する知識は乏しかったです。

まずは、労働衛生管理の初心者が全体的に確認できる書籍を必要としており、本書がとても役に立ちました。

初心者にわかりやすく説明できるかが良書の鍵ですね!

2.法務に役立つポイント①~制度の趣旨から網羅的な記載

それでは、以下、法務職に役立つポイントを記載していきます。

まずは、「第1章 労働安全衛生法とは」の部分です。
私は書籍の第1章が大好きで、ここでいかに書籍が伝えたい全体像を記載できるかで、書籍を理解しやすいものかどうかの分かれ目になると思います。
本書でも、労働安全衛生法の制定、変遷、全体体系、基本事項等の記載があり、労働衛生管理全体が俯瞰できるものとなっています。

次に、本書は労働衛生管理に関する法制を労働安全衛生法を中心に網羅的に記載しています。
上記の本書の紹介で、「労働衛生管理の初心者が」と記載しましたが、ある程度法律を勉強してきた法務担当が労働衛生管理を初めて勉強するための書籍だと思います。

というのも、厚生労働省のガイドラインからそのまま引用した記載なども多く、また引用が長い文章となっている箇所も多いため、本当の法律の初心者にとっては読みにくく、少し理解しづらい内容かなと思います。

ただ、しっかりとした引用の根拠を欲しており、中途半端に要約するよりしっかり引用して欲しいという思考の法務担当にとっては、これはうれしい配慮になります。

法務の方にとってはメリハリがあり、読みやすい構成です!

3.法務に役立つポイント②~辞書的、まとめ本的使い方

本書は辞書的、まとめ本的な使い方ができます。
その章の立て方も絶妙です。
上記で第1章についてふれましたが、第2章以下第20章までうまく分類されており、すぐ欲しいところにたどり着くことができます。

また、各章の記述も網羅的で、法令を調査するだけでは理解しにくい箇所も多くまとめられています。
例えば、「第5章 健康診断」では、理解しにくい有害業務の健康診断もわかりやすく表でまとめられていますし、法令上求められない行政指導(通達)による健康診断もまとめられています。

根拠条文はもちろん、調査しにくい通達の番号も記載されており、まさに辞書的に使うことができます。
指針やガイドラインを深く知りたい場合もURLが記載されており、本書と厚生労働省のHPをつないでくれます。

最後に、本書のような書籍には珍しいのですが、2015年の第1版から、改訂版である本書が出版される間に著者に寄せられた質問を本書中で、Q&Aとして盛り込んであります。
多くの方の疑問点は私にとっても理解しずらいところなので、疑問点に対する著者の平易な回答はとても参考になりました。

4.まとめ

労働衛生管理の勉強を始める方は、まずはわからない箇所があっても通して読んで欲しいと思います。
私も、化学物質の名前などはまったく理解できませんでした。

わからない箇所があっても、一つ一つ検索するよりも、まずは一通り目を通すことが大切です。
一通り読んでから、業務などで深く調べたい箇所を本書から始めて、法令の条文、通達、ガイドラインに当たる方法が良いと思います。

私も通読後、当然全部は覚えていませんから、今後は本書を手元において、辞書的に利用していきたいと思います。

法律の改正があっても、本書を基礎にして長く使える書籍だと思います!

5.カスタマーレビュー

レビューや評価をご確認ください。

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