0からコンプライアンス体制を構築する場合の6ポイント!コンプライアンス委員会の議題も例示します!

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法務が担当するコンプライアンス体制の構築とはどのような業務があるのでしょうか。
従来からコンプライアンス体制がある企業もあれば、あるにはあるが形骸化している、まったくない企業もあると思います。
そこで、一般的なコンプライアンス活動と、法務が担当する分野について記載したいと思います。

1.コンプライアンスとは

まずコンプライアンスという言葉の意味を確認しましょう。
コンプライアンスは法令順守という意味を超えて、現在では一般的な企業倫理(企業とはこうあるべきだ)や、社会常識(不祥事は隠さないなど)に沿った行動を取ることを求められているのです。

不祥事が発生したときに、法令には違反していないからといって、消費者に公表しないという事例も現在ではコンプライアンス違反とされてしまうのです。

さらに最近では「消費者にやさしくない」、例えば約款に小さく記載されているから自社の対応は正しいといったような事例もコンプライアンス違反とされてしまうこともあるのです。

2.行動規範に紐づくコンプライアンスマニュアルの作成

各企業には社員の行動の指針となる、行動規範や、行動指針、基本方針、コンプライアンス宣言、社訓等いろいろあると思います。
そのような指針に沿ったコンプライアンスマニュアルの策定も現在は法務が担当することが多いと思います。

もちろん法務だけで作成することは困難で、現場部署やその他関連する部署の協力は必要になりますが、法務はそのたたき台を提供してくれと言われる場面は多いと思います。
他社の公開されているコンプライアンスマニュアルを参考にして、自社なりの事情を反映して作成することになると思います。

一般的な項目を以下に列挙します。

  • 製品の安全性
  • 商品の適正な表示
  • 公正な営業活動
  • 安全配慮義務
  • 多様性の尊重
  • 労働関連法の遵守(長時間労働の抑制など)
  • 反社会的勢力との関係遮断
  • 地球環境の保護
  • 社会貢献
  • 機密情報や知的財産権の保護
  • インサイダー取引の禁止

上記の項目は私が様々な企業のものを時間をかけて調査したものなんで、参考にしていただければうれしいです!

3.コンプライアンス委員会の設立、事務局担当

現在、コンプライアンス委員会がある企業は、「CRO」(Chief Risk Officer:危機管理担当役員)のもと運営が実施されていると思います。

コンプライアンス委員会がなくて、これから設立するという場合、法務が設立を主導して経営層に提案するという場面もあると思います。
その場合、まずは「コンプライアンス委員会規程」を策定し、決裁基準に従い(取締役会決議が多いのではないでしょうか)、規程の承認をもらいます。

規程を作成する上で、悩むのは委員会のメンバー(役員だけか、各部署の責任者も入れるのか)で、その他の部分はコンプライアンス委員会規程のひな形通り作成すれば問題無いと思います。

無事コンプライアンス委員会が設立され、実際に事務局としてコンプライアンス委員会を開催した場合の議題例を以下に記載しますので、参考にしてください。

  • コンプライアンス活動状況報告
  • 内部通報の状況報告
  • 重大事故報告
  • 情報セキュリティインシデント報告
  • 内部監査報告
  • クレーム報告
  • 長時間労働の状況報告
  • 労災事故報告

上記の議題例も同様に私が過去調査したものです

ぜひ参考にしてください!

4.コンプライアンス教育の実施

コンプライアンスに関する研修を実施する企業は多数あります。
研修会社が実施する研修を採用することもあると思いますが、自社のコンプライアンスマニュアルの理解などは自社で研修資料を作成することになります。

教育研修部門がメインで担当することになると思いますが、法務としてその研修資料の作成に協力する場面があると思います。
法務としては最新の法改正を反映したものを提供してください。

5.コンプライアンス意識調査の実施

コンプライアンス研修の理解度や、自社のコンプライアンスマニュアルの理解度、コンプライアンスへの感度を測るための意識調査(アンケート、テストを含む)を実施することがあるかもしれません。

こちらもメインは教育研修部門となりますが、法務もその設問作成に協力する場面があるかと思います。
日々変化するコンプライアンス意識の高まりを反映してください。

6.内部通報制度の策定、運用

公益通報者保護法が2020年に改正し、2022年6月1日に施行されました。
これにより従業員301人以上の企業に内部通報制度の整備を義務付けられました(300人以下の企業は努力義務)。
上場企業は9割以上導入しており、300人以下の企業でも上場を目指すには必須の制度となっていいます。

内部通報制度をこれから導入という企業においては、その導入を法務が担当することになると思います。
内部通報制度も「内部通報に関する規程」が必要になりますが、こちらは消費者庁HPの規程例がとても参考になります。

規程の中で、内部通報窓口(社内の通報先)と、外部通報窓口(顧問弁護士事務所が多数例)の設置が規定されています。
社内の通報先となった社員への公益通報者保護法や個人情報保護法の内容を理解させることは法務の業務です。

内部通報制度は企業の規模等によっては使用頻度が下がるため(社員が少ない企業では犯人捜しが容易になる)、積極的とは言わないまでも適正な利用を呼びかける必要はあります。

内部通報窓口を担当する可能性もあります

7.まとめ

ここまでコンプライアンス体制構築の具体的な業務内容を見てきました。
業務内容は以下になります。

  1. コンプライアンスとは
  2. 行動規範に紐づくコンプライアンスマニュアルの作成
  3. コンプライアンス委員会の設立、事務局担当
  4. コンプライアンス教育の実施
  5. コンプライアンス意識調査の実施
  6. 内部通報制度の策定、運用

コンプライアンス業務を進めるうえで、本記事の内容が少しでも役立つことができれば幸いです。

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