『最新版 食品に関する法律と実務がわかる本』で日本における食品規制の大原則を知ることができます!

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『最新版 食品に関する法律と実務がわかる本』

著者名:佐伯 龍夫
発行日:2015年9月17日
発行元:日本実業出版社
ページ数:224ページ
価格:2,200円(税込)

法務に役立つ度:★★★★☆

1.本書の紹介

数社の食品加工会社で品質保証を担当した方で、現在、その実務経験をもとに、東北地方で各食品関連事業者のコンサルティングをしている著者による書籍です。
私は食品関連の法令に詳しくなく、今般食品関連の法令を調査するにあたり、まずは手始めに初心者向けの書籍で確認したいと思い、本書を手に取りました。

本書では、まず食品に関する法律の概要からはじまり、食品関連法を守るための実務的な手順、法令違反時の対応、そして、外部に提出する書類や、クレームに対する詫び状のひな形を提示しています。

本書は食品関連法に詳しくない小規模の食品事業者向けとしており、まるでコンサルティングというより、相談役のおじさんが語りかけてくるような体裁になっています。
特に、クレームに対する詫び状のひな形などは、実際に何度も作成したのだろうなというような印象を受けます。

法務としては、「1章 食品に関する法律を知っていますか?」の部分だけ読めばいいように思いますが、平易な文章でサクサク読めるため、2日で読み切ってしまいました。

食品関連法令の手始めにサッと読むような書籍です

2.法務に役立つポイント①~日本における食品規制の手法がわかった

それでは、以下、法務職に役立つポイントを記載していきます。

まずは、「1章 食品に関する法律を知っていますか?」を読んでみて、驚きました。
私は『美味しんぼ』の漫画を愛読しており、食品の安全性の重要性も理解しており、世間でもその重要性に対する意識が高まっていると思っています。
そういった前提で本書を読むと、食品への規制は思った以上に少ないんだなという率直な感想を持ちました。

食品を規制する法律は以下の2つの法律が基本となります。
食品衛生法と食品の表示にかかわる複数の法律を統一した食品表示法です。
食品表示法は、2015年に施行され、猶予期間を経て、2020年から完全施行されました。

食品衛生法は、食中毒を予防するため、食品に含まれる大腸菌の基準など、食品の安全性を主に衛生面から担保します。
食品表示法は、食品に含まれるものの表示ルールを定め、消費者にその内容をしっかり伝えるための法律です。
アレルゲン情報の表示は消費者の命にかかわるものとなります。

その他、景品表示法、計量法、不正競争防止法、薬事法、健康増進法、製造物責任法にもふれています。

日本における食品に対する法規制の仕組みが理解できました!

3.法務に役立つポイント②~作成書類のひな形の豊富さ

本書には、新規取引先への提出書類や、クレーム発生時の消費者への詫び状、販売会社への報告書など、さまざまなひな形が豊富に掲載されています。

著者が実際の現場で使用するために一つ一つ作成したものと思われ、それらのWord文書が著者のPCにたまっていたものから抜粋したように感じられます。
官公庁提出書類のひな形は官公庁のHPなどに記載がありますが、食品業界における対民間同士の書類のひな形はあまりないものだと思います。

本書について著者は小規模の食品事業者向けとしていますが、本書に記載されている各種書類のひな形も、ベンチャー企業や中小規模の企業の法務に役立つと思います。
本書のひな形を利用すれば、ただでさえやることの多い法務の時間短縮に役立つものになると思います。

4.まとめ

本書は食品関連法の基礎を提供してくれる書籍です。
本書で日本の食品規制の概要を知って、各法令の条文にあたっていただきたいと思います。

条文にあたる前に、この食品規制の概要を知るか知らないかは、私にとって雲泥の差がありました。
ぜひ、食品関連法の最初の一歩として、本書を利用して欲しいと思います。

5.カスタマーレビュー

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