契約書は法務の基本!作成から審査まで4つの工程を解説!ひな形がない契約を作成するコツもあります!

契約書の記事のアイキャッチ画像

法務の業務内容として契約書審査はすぐに思いつくものだと思います。
BtoCや代理店ビジネスなど、会社の定型的な契約書については別部署で管理することが多いので、ここでは法務が手がける契約書業務について記載したいと思います。

1.契約書の作成

契約書の作成は、法務のメインの業務です。
最終的には顧問弁護士にチェックしてもらう場合もありますが、顧問弁護士にはわからない自社特有の事情を反映した契約書は自社の法務が作成する必要があります。

最初の段階では、契約書作成が必要な営業担当からどういった契約が必要かヒアリングします。
営業担当の契約書に関する知識レベルは様々なため、まずはどういったビジネスがしたいか法律用語を交えず、「聴く」ことが必要になります。
過去に作成した契約書を例示に出してもいいかもしれません。

次の段階ではヒアリングした内容をもとに契約書のたたきを作成します。
私は信用ある書式集(※)を確認し、使用できるものがあれば書式集からたたきを作成していました。
書式集に無い場合、私は民法の13種類の典型契約(有名契約)のどれに近いかを判断し、近い典型契約をベースに修正をしていました。

私が作成した契約書で一番多かったものは、業務委託契約でした。
以下、継続的取引基本契約、秘密保持契約等も多く作成しました。

※私は以下の「契約書作成の実務と書式 企業実務家視点の雛形とその解説」阿部・井窪・片山法律事務所編を参考にしていました

2.契約締結までの交渉支援

作成した契約書のたたきを営業担当が締結先企業に提示して交渉がはじまります。
自社が提示した契約書がすんなり受け入れてくれることが一番良いですが、たいていの場合、締結先企業から修正を提示されます。
ここでは、自社の立場を主張するだけでは交渉は成立しません。
譲るべきところと、譲れないところを判別し、交渉する営業担当の理解を得ながら、交渉を進めてください。

私の場合、秘密保持や、資料の貸与、不可抗力、反社会的勢力の排除、合意管轄、誠実協議義務等の一般条項といわれるものは、締結先企業のこだわりもあると思い、譲歩していました。
交渉に締結先企業の法務担当が出てくることも多いです。
実は締結先企業の法務担当が出てきてくれたほうが話が早い場合もあります。
交渉やメール等のやり取りに出てこなくとも、通常は締結先企業の法務担当の確認を経て、契約書は確定していきます。

法務も営業であるという意識を持ってください

3.契約書の審査

法務による契約書の審査は、定型契約書フォーマットの記入必須項目のチェックなどの審査ではなく、単発ないしイレギュラーで発生する契約書の審査がメインになるかと思います。
法律を根拠に正確な審査は必要ですが、契約書の書式集と比較して、契約書にない書式集の条項をもれなくいれたり、多数の事態を想定して、契約書に条項をいたずらに増やすことはあまりおすすめしません。

法務が嫌われる理由は、法務の審査は修正だらけですべて対応すると、ビジネスが進まないといったことが挙げられます。
リスクを理由に反対ばかりする人たちだと思われがちです。
通常の解釈に委ねられられる部分は、記載が無くても問題無いとする判断も必要です。

修正箇所だらけの契約書を相手先に提示しなければならない営業担当の苦労や、こんな些細なところまで指摘してくる企業だという印象を締結先企業が持つことも考慮に入れなければなりません。
最近、AIによる契約書チェックシステムがあります。

契約書審査の効率化に資するものだと思いますが、最終的には法務がチェックして、説明ができるようにしなければならないことは言うまでもありません。

最近のAIによるチェックは私も使ってみたいです

4.契約書の管理

契約書の管理は、通常、「契約書名」「契約の相手」「締結日」「有効期間」「自動更新の有無」「所管部署」等をExcelで連番管理することが多いと思います。
管理に手間がかかる部分は「有効期間」と「自動更新の有無」で、期限のリマインダー機能を有する契約書管理システムもあります。

昨今、電子契約システムの普及が進み、採用している企業はかなり増加している印象です。
電子契約システムなら、PDFの署名機能を利用しているため、そのままPDFでの保管が可能です。
ただ、紙による契約書も現状存在するため、両者の管理方法を工夫してください。

5.まとめ

法務による具体的な契約書業務をみてきました。
以下の業務がありました。

1.契約書の作成
2.契約締結までの交渉支援
3.契約書の審査
4.契約書の管理

契約書に関することは法務のメインの業務です。
まずは、多数の生きた契約書を審査することによって、契約書の知識を増やし、その知識を活かして契約書の作成に取り組んでいただきたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました